話題作を送り続けるアニメーター、『新海誠』の作品を紹介

若者たちから絶大な支持を集める稀代のクリエイターである『新海誠』さん。彼が描いた監督作品を見たという人も多いでしょう、それは何処か心を打ち、ただ漠然と見るだけでは理解できない、そんな心象心理を見事に描いている作品が多い。このサイトではこれまで公開された彼の作品を紹介・考察していきます。

秒速5センチメートルとは

短編で構成された作品

雲のむこう、約束の場所が公開されてから3年後、新たに監督の新作が発表されました。2007年に公開されて、短編映画ながら異例の大ヒットを記録した作品でもある『秒速5センチメートル』という作品になります。以前まではSF的な要素を内包した世界観が特徴的でしたが、今作からは現代をベースとしたリアリティある内容になっている。次作では一転してファンタジー色が濃厚な星を追う子どもが公開されているので、鋭意な作風が魅力的だ。

待望の新海誠監督の新作として、公開前から大きな反響を呼んでいた。当初こそ日本全国の単館系劇場で公開されれていき、その人気が世界へと飛び火していきます。アメリカではアニメ映画のライセンス化という異例の事態を起こし、世界各国で開催される映画賞で軒並み話題作として注目を集めて受賞していった。

数々の映画賞を受賞し、新海誠というクリエイターが作った作品がその頃には世界的に名のしれた人だとして、知名度をあげていた証でもある。それをさらに増長させるようにこの秒速5センチメートルという作品があるわけだが、そもそもこのタイトルからしてどういう意味なのだろうか。

また今作については方々から、安易に見ていると凹み過ぎて辛すぎるという意見が多く見受けられるので、そこにも注目して見よう。

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作品概要

この作品はそれまでの作品とはまた違った試みが行われている。世界観が違う、というのも大きな点ですが、内容が3話の短編で綴られているのです。この作品における主人公とヒロインは小学生の頃に出会い、親の都合による転校で思いが繋がりながらも離れ離れとなり、やがてその繋がりを捨てきれないまま大人になっていくというものだ。

言ってしまえばこの作品での主人公はかつて好きだった人をずっと想い続けるがあまり、郷愁さから逸脱できない、誰も心に寄せ付けない人間になってしまうのです。通じる部分はあった、けれどそれも主人公の心のなかで生き続けるかつて少女しか生きておらず、やがてその想いに苦しめられてしまうのだった。そんな主人公が苦悩する中でずっとあの頃の少女に問いかける、『どうすれば、どのくらいの速さで君にまた会えるんだろう』と。

切なく、心を締め付けられる今作のあらすじについてですが、短編それぞれに分居して紹介していこう。

あらすじ

第1話 桜花抄

『ねぇ、秒速5センチなんだって、桜の花の落ちるスピード。 秒速5センチメートル。』

そう呟く彼女は眩しかった。遠野貴樹と篠原明里は、共に小学3年の春に転校してきた。内向的な性格に加えて病弱、さらに親の都合による転校を何度となく繰り返していたことから、2人の距離は近づいていく。惹かれ合う2人だったが、その1年後に明里が栃木へと転校してしまった。やっと想いが繋がったはずの2人、それでも毎日電話をして距離を確かめるが、今度は貴樹に引っ越しの話が湧いて出た。行き先は鹿児島、引っ越せば二度と会えなくなるかもしれないと思って、中学1年の3学期に明里に会うため単身静岡へ向かう。

数年ぶりに再会した2人、またいつか会おう、そう伝えたものの、それが叶う日が来ることはなかった。

第2話 コスモナウト

鹿児島で暮らしていた澄田花苗は、東京からやってきた貴樹に淡い恋心を抱く。中学2年の頃からひっそりと抱いていた感情、それをいつかは伝えようと貴樹との距離感を詰めていく。しかしいざとなると肝心の想いが伝えられなかった。中学から同じ高校へ進学するも一進一退の状況で遂に高校3年という進路というタイムリミットが差し迫る。

卒業前に告白をしようと、出来なければ卒業後に東京へ引っ越す貴樹の後を追って行こうと思っていた。周りは彼女の意見に反対するも、花苗はそれまでスランプに陥っていたサーフィンで波に乗ることが数年ぶりに出来たことで貴樹に告白を決意する。想いを乗せて告げるその言葉、だが貴樹には届かなかった。

彼は1人、何年も想い続けている1人の少女への想いを断ち切れず、苦悩し続けていた。

第3話 秒速5センチメートル

社会人になり、日々何かに駆り立てられるように仕事をしていく。やがて追われるようになって心身ともに疲弊すると仕事を退職、その時付き合っていた女性とも別れることになる。その最後のメールにはこう記されていた。

『1,000回メールしても、3年で心の距離は1cmしか縮まらなかった』

そこに記されている内容が示すように、貴樹はずっと明里を想い続け、同時に断ち切ることが出来ずにいた。誰かと付き合っても、何かに没頭しようとしても、彼の脳裏に霞む幼い頃の初恋相手。けれどその一方で明里は、貴樹のことを次第にその記憶から忘れようとしていた。

やがて明里の結婚が決まったときに、2人は偶然再会を果たす。けれど互いに意識しながらも声をかけずにすれ違う。そうしてやっと貴樹は今までの想いにケリを付けられるようになり、やっと彼が人間としての人生を歩んでいくのだった。

アニメが好きな方へ

鬱になる

あらすじから見てもらえればわかると思いますが、結局主人公とヒロインは結ばれません。はっきり断言してしまうとどうしてこんな結末になったんだと、そう嘆く人もいるくらいでしょう。そんな展開なので、見る人によっては色々考えさせられる内容であり、そして新海監督らしい作品だともいえる。