話題作を送り続けるアニメーター、『新海誠』の作品を紹介

若者たちから絶大な支持を集める稀代のクリエイターである『新海誠』さん。彼が描いた監督作品を見たという人も多いでしょう、それは何処か心を打ち、ただ漠然と見るだけでは理解できない、そんな心象心理を見事に描いている作品が多い。このサイトではこれまで公開された彼の作品を紹介・考察していきます。

1人の人を想い続ける辛さ

貴樹と明里

この物語において貴樹と明里、2人の存在がキーワードだ。特に貴樹にとって明里は長い時間残り続ける幻想となり、彼の心の中で生き続ける象徴的な存在へと昇華してしまいます。そのせいで貴樹に好意を寄せる他のヒロインが苦しむ事になってしまうのですが、貴樹には自覚はありませんでした。けれどそう感じるようになってしまった物語が、第一話の桜花抄にて描かれている。栃木へ引っ越した明里と長く文通していたが、その後貴樹自身が今度は鹿児島という遠く離れた場所へ行かなくてはならなくなってしまった。

離れる前に一度会う、そのために彼は単身見知らぬ土地へと向かって、苦労の末に数年ぶりに2人は再会する。短い時間ではあるが、会えなかった時間を埋めるように過ごすものの、短すぎる逢瀬に別れが訪れた。

よくある物語なら、ここで2人ともが何処か別の場所で生きるか、大きくなったらまた会いに行くかという選択肢が考えられる。よくある定番イベントに見えますが、このシーンで双方が双方でこの再会で決断したような描写が見られる。幼いが故に2人はどんなに想い合っても一緒にいることが出来ない、そのことを自覚していた。離れて想い合っても、いつかその想いがすり減って無くなってしまうというのがわかっていたからだ。

やがて別れの時が来る、その瞬間こそ貴樹の中で明里という少女が残像となって心に焼かれ、明里は去りゆく初恋相手の電車を見えなくなるまで見送ります。ここからそれぞれがそれぞれの道へ分岐するも、最も苦悩するのが貴樹であり、そして彼と知り合い恋していく少女たちだった。

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一番の悲劇といえば

今作で一番の悲劇なヒロインは他でもない、花苗に他ならない。今作を見たファンにしてみれば、

といったように、彼女が劇中で見せる姿が可愛すぎると絶賛だった。本来ならこんな純情な少女に慕われて靡かない男はいないのですが、貴樹は彼女の想いを知ること無く、ただただ象徴的に祭り上げられてしまった『明里という少女』に囚われていた。夜ごと1人、携帯のメールで打つ文面はかつて好きだった少女を思ってのもの。この頃には貴樹と明里との間には繋がりは存在しませんでした。けれど花苗にすれば、そんな事情を知るはずがない。日々アプローチを掛けては空回りして、貴樹の心に近づこうと必死になった。

そして想いの丈を込めて告白するも、彼女の願いが成就することはなく、そして気付かされてしまったのです。5年という月日を掛けて想い続けても、貴樹の心には近づくことすら出来なかったと。花苗は自分にはどうにも出来ない貴樹の心のなかで生き続ける少女には勝てず、また勝ち目すらないことに気付かされてしまったのだ。

悲恋で終わってしまった花苗の恋、それを無意識的に気づけてしまった貴樹からすれば自覚がない分、重症なのかもしれません。

その後についても

映画では明確に表現されていませんが、コミカライズされた際には花苗ではない少女、理紗と交際をスタートさせる貴樹。仕事の関係で知り合い、同棲までするようになったが、3年間という交際期間にピリオドを打ったのは彼女だった。どんなに頑張っても、貴樹の心には近づけなかったことを告げるメールに、貴樹はただ呆然とする。この時、彼自身がずっと長い間自分の心の中で生き続けていた『明里』の想いが生きてしまっていたことに気づいてしまったと言える。

それを社会人になった後、がむしゃらに働ける原動力にしていたくらい、彼女への想いすらすっかりと忘れてしまっていたのだ。このことからも、監督がインタビュー時に述べているように、明里への想いがまるで呪いのように残ってしまったと明確にしている。

アニメが好きな方へ

1人の人間を想い続けるあまりに

一見すれば貴樹の明里に対する想いは一途、そう言うことが出来る。けれど第2話のコスモナウトから見てもらえば分かるように、それはただ貴樹を夜毎苦しめるトラウマと化しているように見えた。明里に対する想いは本物だった、けれど貴樹にしても明里にしても理解していたのです。あの別れの時に、これからもずっと一緒に入られるわけではないと。

彼女を守りたいと思っていた気持ちも本物だった、ただ現実は残酷でたかが非力な少年には少女1人守る力すら持ちあわせていなかった。その事実を受け入れてはいたが、明里への想いが消失することもなく、残像という形で残ってしまった。

物語終盤で2人は再会するが、気づいていながらも声をかけないシーン。明里は静かに良い思い出となっているのに対して、貴樹は彼女に対して何も思わなかったと筆者は分析している。あくまで貴樹が好きだったのは、『少女だった明里』に対しての想い。成長した彼女に向けられたものではなく、幼い彼女だったからこそ好きだったのだろうと。だからこそ貴樹の回想シーンで明里は成長することなく、最後にあった中学1年のままだった。

そんな想いから解放されるように、貴樹は『大人になった明里』を見てけじめをつけることが出来たと言えるのでは。『少女のままの明里』へ馳せる想いをかなぐり捨てるように、貴樹はこれからを歩いて行こうとします。そう感じるラストだったと、筆者は考察する。