話題作を送り続けるアニメーター、『新海誠』の作品を紹介

若者たちから絶大な支持を集める稀代のクリエイターである『新海誠』さん。彼が描いた監督作品を見たという人も多いでしょう、それは何処か心を打ち、ただ漠然と見るだけでは理解できない、そんな心象心理を見事に描いている作品が多い。このサイトではこれまで公開された彼の作品を紹介・考察していきます。

作品から何を感じるか

宮﨑駿監督作品を意識して

前作とは一点変わって、地下世界を旅するヒロインとそこで生きる少年との関わりで知る、命について考えさせられる映画だと筆者は今作を捉えている。そのことについて触れると、なんとなく思い出すのは1997年に公開されて世界的に大ヒットした『もののけ姫』を思い出した。自然と人との争いの中で見出される命の営みとは何か、子どもの時分で映画館で見た時は壮大なテーマ性に心を響かされたものです。

また新海監督は今作において特に宮﨑駿監督作品に対してのオマージュを所々に盛り込んでいるのも特徴だ。どこかで見たことがある、そう思ったら間違いなくジブリの名作から来ている、そう見ていいでしょう。宮﨑駿さんと新海誠さんとでは比べる余地もないですが、後者はやがて前者のように凄い人になると、誰もが期待に胸を躍らされている。まだまだこれからだと、そう思っていれば今後発表される作品にも期待していきたいところだ。

さて、そんな新海監督の記念すべき4作目になる星を追う子どもについてですが、今作で特に目立つテーマ性として『喪失・旅立ち』の2つでしょう。特に喪失についてはアスナ・シン・森崎の3人それぞれに共通するもので、同時に喪失したからといってその現実を受け入れられない人たちのもがきが克明に表現されている。

ただ失ったからといっても3人それぞれが抱く『喪失感』は全くの別物といえる。そこから感じられるキャラクター性が世界観とマッチしているので、注目してみると新しい発見があるかもしれません。

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喪失への感傷

ではそれぞれが抱いている喪失感について、その矛先と心理を考察してみよう。

アスナの場合

まず最初に主人公のアスナについてだ。平凡な少女として過ごしていた彼女だが、彼女の出生にはある秘密があった。それは父が元はアガルタの地底人であり、母は地上人で父と出会ったことから生まれた地上と地底、双方の世界の血を引くハーフなのです。こちらについては映画が公開された後のコミカライズにて明かされていますが、劇中でも彼女の父が遺したクラヴィスから、アスナがアガルタと関係があることを示唆しています。

アスナが地底世界アガルタへ向かう理由として、もう一度会おうと約束した少年のシュンと再会することが望みだった。幼く、人と永別するという辛さを知ったアスナはそれを受け入れられず、出来るならもう一度あって話をしたいと感じたからこそ、森崎についていく形でアガルタへ向かう。ですが旅を続けていく中で死者を生き返らせるということがどういうことかを知り、そして夢の中でシュンと再会した時に幼い少女の心に1つの結論を導かせた。

喪失したことに悲嘆はする、けれど立ち止まって悲しんでは前に進めないとアスナは理解したのだ。だからこそ死者を蘇らせる方法を最終的に否定し、死んだ人を忘れないためにも、いなくなってしまった人に報いるためにも前に進もうと決意する。それがあったからこそ、地上へと戻って今までどおりに生活していく選択肢を取る。

シュン・シンの場合

アスナと邂逅し、彼女から受ける影響で変化していく少年がシュンとシンの2人だ。元々兄弟であるが、ある時シュンは言いつけを破ってアガルタから地上へと出てきたのだ。しかしその時には既に病魔に身体を蝕まれており、余命いくばくもない状態だったのです。アスナと出会って地上の美しさに感銘し、そして彼女ともう一度会おうと約束した時には叶わぬ約束だと、その時のシュンは悟っていたのかもしれません。短命であるアガルタ人、加えて病によって死期が迫っていたシュンは自分がいなくなる恐怖に苛まれながらも、アスナという地上で出来た最初で最後の友人に救われながらその生命を賭した。

そんなシュンの弟であるシンは、兄が持ちだしたクラヴィスを回収するために地上で出てくる。登場した際にはアスナに対しても汚らわしい地上人という、これまでアガルタに攻め入ってきた過去から嫌悪の意をむき出しにしていた。けれど彼女との会話を重ねていく中で、彼もまた自分が肉親を失った『喪失感』に心を痛めているのが見えてきます。やがて作中でアスナ達に助けられてからは借りを返すとして行動を共にする中で、アガルタという世界が短命であることを理由にして自ら滅びようとしているのではないかと、そんな意図に気付かされる。

最終的にアスナの味方であり続けたシュンですが、彼にとっての喪失感は兄であるシュンを亡くしたことだ。ただそんな彼の死を悲しみ、慈しみ、そして忘れないでいてくれるアスナに対して感謝の念もこもっているように見える。そして彼は彼で、今後自分がどうしていくべきかとアガルタで将来を考えるようになっていく。

森崎の場合

今作での一番の曲者といえば、他でもない森崎だ。アスナの学校に新任教師として転任してきた彼は、まるでアスナがシュンと邂逅していたことを事前に知っていたようにアガルタに関する情報を彼女に伝えます。その後シンと接触したアスナたちからクラヴィスを奪うため、部隊を動かすもそれらは全て己が目的を果たすために利用していただけに過ぎなかった。出しぬいた後はアスナとともに、死者を生き返らせられる場所へ向かいますが、彼の頭の中には亡き妻に対する思いしかありませんでした。

同時に、森崎という人物は妻であるリサを失った悲しみ・喪失などを受け入れられない、立ち止まってしまった人でもあったのです。だからこそ人外の手段であったとしても、取り戻せるのならどんな手段をも厭わないと考えた。終盤において死者を生き返らせるための代償として、それに見合う生け贄を差し出す際には戸惑いながらも、アスナと自身の眼球をその触媒に指名してしまったのです。そして念願の再会を果たしますが、その際にアスナはシュンと夢のなかで再会して、これまでの歩みは自分勝手な寂しさを埋めるためだと気づいたことで、儀式そのものを否定した。

それにより森崎は再度リサを失ってしまいますが、そのさり際に見せた彼女の笑顔が意味するものは、これからは前を向いて生きてと言っているように見えたでしょう。その事実を受け入れられない森崎はアスナに殺してくれと嘆願。やがて全てと向き合っていくためにアガルタで生きていくことを決める。

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一番の成長を見せたのは

今作で一番の成長を見せたのは他でもないアスナだ。対して森崎に関してはアスナを拐かし、最後まで1人現実と向き合えなかったものの、物語終盤にてようやく受け入れられるようになった。ここから見ても、同じ喪失感を抱いた人間で、片や前を歩き、片や後ろを向いたまま立ち止まったままという構図が見て取れます。アスナは全てが終わって地上へ変えるのに対して、森崎はアガルタで生きていくことを決める。このことからも、アスナは未来に生きることを選び、森崎は過去を引きずりながら現在のままでいると決めたと感じられる。